2007年01月04日

「元気な団塊 気弱な団塊」と「国家破綻はありえない」を読み比べ

藤原直哉「元気な団塊 気弱な団塊―株価バブル、年金地獄、金利の上昇をどう生き抜くか」(あ・うん)
今は心配が尽きない「気弱な団塊」であったとしても、明るく、楽しく、豊かに、そして「元気」になれる可能性はいくらでもある。そのための、「ロハス」的生き方や、「偉大なる共生」社会を提言する。

増田悦佐「国家破綻はありえない」(PHP)
多くのエコノミストがその著作等で言及する「日本の国家破産」。本書ではそれがありえないことを斬新な視点から論証する。

前者は団塊世代に対し、たとえば年金制度はこのままでは10年後に破綻するし、小泉政権は自分の任期中には増税しないと繰り返してきたが、政府自民党は今年度中には定率減税を全廃して3.3兆円を増税しようとしている。国際関係でもイラク戦争や欧米間の不協和に見られるように親米一辺倒は明らかに危険。早く「脱米」路線へ転換しないと日本に未来はないと手厳しく警告する。
一方、後者は「危機感をあおっているのは、大増税の正当化など、官僚や政治家、勝ち組の経済人、評論家、大新聞など"知的エリート"と呼ばれる人びとに都合のよい世の中を作るためのポジション・トークである」と対照的な切り口から始まってますが、結局は、

・対米依存は日本の将来にとって危険
・今までの生き方に自信を持てばいい
・対米従属を改めれば、日本の将来が明るい

と結論はほとんど同じところに行き着いてます。

<藤原直哉氏の本書での主張概略>
・今、日本で世界で1つの時代が終わろうとしている。米国ブッシュ政権や日本の小泉政権が続けてきた政策に、あからさまに『ノー』を言う勢力が台頭しはじめた
・『勝ち組』が明日の『負け組』へと転換する時代を迎えた
・日本の現政権は、ほとんど米国のいうがままになって混乱・破綻をきたした
・『団塊の世代』の中にも、この新たな時代を積極的に受け入れ、元気に生きていける人たちと、なかなか新たな時代になじまず気弱になってしまう人たちがいるだろう
・もちろん、すべての人に『元気な団塊』になってほしい。今は心配が尽きない『気弱な団塊』であったとしても、高度成長期の修羅場を乗り切ってきた、類まれなエネルギーを潜在的にもっている人たちばかりである
・「彼ら(団塊世代)は自分自身の成長と、日本という国の高度経済成長を重ね合わせるように…戦い抜いてきた歴戦の勇者なのだ
・彼らの多くは、走り続けたその使命を終え、安らぎの晩年を迎えるべく、羽根を閉じようとしている。しかし残念ながら、それは見果てぬ夢になりつつある
・彼らは、これから第一線を退くと同時に、年金や医療などの制度面で、今までの約束事がどんどん反故にされていく10年にさしかかる
・著者は「『団塊の世代』は20世紀を忙しく駆け抜けてきた。しかし日本人が本当に求めているものは、もっと早く走る力だろうか。もっと多くのことを記憶する力だろうか。あるいはもっと激しく戦えるちからだろうか」と問いかけ、その答えを「安心」だと結論付けている。
・そして「ロハス」的な生き方の中味について、次のように述べている。
「『ロハス』とは、Lifestyles Of Health And Sustainabilityの頭文字をとった造語で「健康や持続可能性を重視するライフスタイルを意味している」
「人はそれぞれお互いに異なった分野で、本来生かすべき潜在能力を持っているはず」
「『ロハス』的な生き方をしている人を見ると、自分が得意な分野、自分が好きな分野、自分が楽しめる分野を皆それぞれに持っている。その分野でどんどん専門知識を高め、経験を積み、ライフスタイルを進化させている」
「『ロハス』的な生き方は、他人と成功を競う必要はなく、……その具体的な姿が1人ひとり異なる」

藤原直哉氏が言う「ロハス」とは、
Lifestyle of health and sustainability
という英語の略。
健康持続可能な社会に配慮したライフスタイル」
といったところで、1998年のアメリカでの研究から導き出されたライフスタイルのモデルが元になっています。日本には2002年に紹介され、使われ始めたようです。
ロハスなライフスタイルとは、
「安ければいい」
「効率がよければいい」
という従来型の選択基準とは異なり、
「それは自分や他人のカラダに悪い影響を与えないものか?」
「それは地球環境にとってマイナスにならないものか?」
をまず考え、それによって消費や行動を選択していくものです。




増田悦佐氏の本書での主張概略>
日本の「国家破綻」は、相変わらず多くの論客たちによって唱えられている。そのほとんどは、「今や日本の国家財政は借金まみれであり、孫の代までかかっても返済不能なほど赤字国債が積み上がっている」から、いつかはこんな無謀・無策な状態は立ち行かなくなり、破綻をむかえることは不可避である……というものである。そして、破綻が来れば、ハイパーインフレなどが起こり、国民は塗炭の苦しみをなめることになるというのだ。それに対し、著者は、敢然と、「そのような論議は、大増税の正当化など、官僚や政治家、勝ち組の経済人、評論家、大新聞など“知的エリート“と呼ばれる人びとに都合のよい世の中を作るためのポジション・トークである」と、断言する。そして、本書では、欧米のような“知的エリート独裁社会”でない、“凡人話し合い社会”である日本こそ、これからの国家運営の模範であり、ますます欧米をさしおいて発展していくという論を展開する。
 また、日本は、田中角栄以来擬似社会主義化したことで衰退を始めた。投資効率の良い箇所にきちんと公的投資を集中することで、日本は再生する。つまり、投資効率が著しく 悪い地方に公共投資を行なってきたことが全部負になっている。より高効率な国になることで日本は蘇る。

でも、増田氏の
・オレオレ詐欺は法律に触れる点を除けば、すばらしいビジネスモデルだ
・フリーターやニートのことは心配ない。そういう生き方が出来るほど日本は豊かになったんだ。
というのはちょっと楽観的な見方過ぎるのでは。。。

同氏の別の著書への当ブログでの感想文→増田 悦佐「日本型ヒーローが世界を救う!」





posted by スーパーサウスポーあさちゃん。 at 13:35| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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