専門が解剖学の養老さん、生物学や進化論が得意の池田さん、そしてノンフィクション作家の吉岡さん。それぞれ独自の読書論をもつ3人が「本の森に逃げ込め」をテーマに自らの愛読書を縦横無尽に論じた。「米国がわかる本」「ミステリーと言えば」など、14のテーマについて、126点を取り上げた。前半では、養老さんが、独自の読書論を縦横無尽に展開している。いままでにない、画期的読書術。この本で、あなたの本の読み方が変わる。
養老説によれば、「識字率は外遊び時間に比例する」とのことなので、「読み聞かせること」は脳の発達とはあまり関係ない。
「知育」=感覚=入力
「徳育」=頭の中で起こること=演算
「体育」=身体の動き=出力
このぐるぐる回しが脳の発達に必要
しかも、外遊びはコンクリートの地面よりも、変化に富んだ土の方がいい。田舎の子供は特に意識しなくてもそういう場所である程度外遊びするからいいとして、都会の子は親が意識してそのような場所で遊ばせないと脳の発達に大きな格差が生まれてしまうとのこと。
そういえば、知力も体力も根本は脳の活動から来ているわけだから、頭の回転が速くないと体の回転が速いということはありえませんね。
それと、「ながら」読書の勧めも書いてありました。
読書術そのものについては、この本の24ページくらいまで読めば十分だと思います。
第1部の残りの部分は、著者の自説の展開で、
・日本語の特殊性(漫画言語)
・脳は全体主義で鍛えろ
・本は電車の中で読むのがいい
とか。
第2部は、ジャンルごとに鼎談でお勧め本の紹介も含め、雑学などの披露。
・アメリカはマニュアル社会
・寿命が延びたのは、医学の発達というよりむしろ公衆衛生の充実の方が大きい
・日本人は記録魔
(自分の所感:ブログは日本語のものが圧倒的に多いらしいしね)
・49%反対、51%賛成が一番うまくいく
・日本の漫画は面白いが小説化しにくい。だから、漫画で表現している
(自分の所感:マンガ日本の歴史シリーズとか成立するのは日本くらいなもんでは)
・いまはほとんどの人が「視覚型人間」になっているので、全体的に論理性が落ちてきている→馬鹿になるのは簡単
・女は実体、男は現象
ちなみに、ここでお勧め本に取り上げられた中で読んだことがあるのは、
・増田悦佐「日本型ヒーローが世界を救う」
だけ。
(リンクは当ブログ内の書評)
e-honから概要
[要旨]
読書とは、脳を使った、運動だ!バカにならないためには、読書で、脳を揺さぶれ!養老読書術の神髄がここに登場。後半は、博覧強記の三粋人が、初めて、自らの愛読書と書の接し方を、明かした。この本で、あなたの読書術が、ひっくり返る
[目次]
第1部 「養老流」本の読み方
(「読み聞かせ」と子どもの脳;「読書脳」の仕組み;「唯我独尊」としての読書;「バカの壁」越える読書)
第2部 鼎談 バカにならないための本選び
(米国がわかる本;価値観変える本;科学を楽しむ本;ミステリーと言えば;鴎外vs.漱石;勝手にノーベル文学賞;旅行記を手に…;京都でマンガ三昧;伝記は女が書く;太宰と安吾;居酒屋で哲学を;「時代小説」万歳;意外な詩人は…;唸る写真集…)