原 武史「鉄道ひとつばなし2」(講談社現代新書)
内容紹介
「30年に1冊の新書である」など、読書界で絶賛された前著『鉄道ひとつばなし』から4年、待望の第2弾刊行!
これであなたも鉄道通! 話題の全線シンポジウム収録
皇居と鉄道の関係、抱腹絶倒の「日本の鉄道全線シンポジウム」、鉄道から見た「隣県の壁」、日本の駅百選……鉄道を通して、近代史を、天皇を、文学を、都市と郊外を、日本の本質を考える珠玉のコラム集です。日ごろ何気なく乗っている鉄道を見る目が一変します。
Wikiで調べたら、著者は自分と同世代でしたね。本業は明治学院大学の教授で、専攻は日本政治思想史。
で、「隠れ鉄」時代が長かったと。。。
その気持ちはわからないでもないですね。昔は隠したい趣味でしたものね。
ところが、このブログでも何回も取り上げていますが、さいたま市大宮区の「鉄道博物館」が老若男女を問わず多数の入場者でにぎわっているように、鉄道趣味は隠すべき趣味でもありませんし、女性の鉄道好きも増えましたしね。
で、この作者。ライトな鉄道好きで、痛いオタクとは違うと、本気で宮脇俊三の後釜狙っているようですね。
その他所感
・前著「鉄道ひとつばなし」を上梓した時から4年たって大きく変わったのは鉄道趣味の女性が大幅に増えてきた。もはや、鉄道趣味は隠す時代ではない。
→ちなみに、当ブログは元々URL:http://kakutetsu.seesaa.net/でスタートしているように、本籍は鉄道系ブログです。
・四国は他の地域に比べて鉄道が大きな役割を果たしてこなかったため、時間感覚がルーズ。
・(著者の住んでいる)「東急田園都市線」沿線は、イメージはいいが通勤は地獄である。(ラッシュ時の混雑率は私鉄日本一だったり、地下鉄との相互乗り入れで、渋谷からは座って帰れなかったり、遅れは日常茶飯時)座席指定特急(主に小田急のロマンスカー)で帰れる人がうらやましい。
→ということで沿線住民の証言:平日夕方18時以降の下りロマンスカーは当日朝早くにネット予約しないとたいがい乗れません。
・西武鉄道は、公団住宅の発達に合わせて発展し、老朽化に伴い没落しつつある。(同社は大手私鉄の中で唯一社史を出してないことも批判)
→その系列球団もつい最近までは、所沢移転前の歴史を消してましたからね・・・
・「第3章 日本の鉄道全線シンポジウム」は笑えます。
・小田急線の読売ランド前駅の駅名の由来は勉強になりました。
→全国の○○「前」という名前の鉄道の駅のうち、実際に○○に一番遠いのは、ここだと思うんですが?どうでしょう?○○大学前駅でも小田急の某駅かと(注:このネタ、トリビアの種に投稿済みです)
・2つ前のエントリーでの「その後台湾にも鉄ちゃんは出現したんでしょうかね?」という疑問。解決しました。
・JR東日本とNREの進出で駅弁と駅ソバに個性がなくなったという感想には自分も同意
・JRグループの中で鉄道愛がもっとも感じられるのが、「JR九州」で、「JR東日本」はワースト。「JR西日本」は大阪近郊はいいが、それ以外のローカル地域には冷たい。と自分もそう思います。
・ブルートレイン廃止を惜しむだけじゃなくて、廃止反対運動やれと鉄道オタクにケンカ売ってますね・・・
それと、著者も指摘しているように、最近は日本の鉄道の定時性も失われつつありますね。
日本人というか、日本社会のどこが変質したんでしょうかね?
そういうことも考えさせる本でありました。
目次
序章 続・思索の源泉としての鉄道
第1章 天皇と東京
第2章 電車通勤・郊外論
第3章 日本の鉄道全線シンポジウム
第4章 駅の記憶
第5章 鉄道乗車記
第6章 鉄道趣味と文学・メディア
第7章 鉄道の明日を思う